80歳のアクション俳優・倉田保昭は語る「生涯、現役。不満、不調は語らない!」心の健康とやる気を維持する倉田流の生き方とは

80歳のアクション俳優・倉田保昭さん主演の最新作『夢物語The Living Dragon』が2026年7月17日に公開されます。アクション俳優生活60周年を迎えたレジェントの倉田さん。最新作は倉田保昭さんの弟子である3人のアクション監督が手がけた3つの短編によるオムニバス作品です。本作&キャリアについて倉田さんからじっくりお話しを伺いました。

- 倉田保昭(くらたやすあき)さんプロフィール
1946年、茨城県出身。
アクション俳優、武道家。
1966年に俳優デビュー。1970年に香港へ渡り、ショウ・ブラザースなど数々の香港映画で活躍。帰国後、ドラマ『Gメン75』(TBS/1975~1979)に出演し、話題に。その後、日本、香港、台湾などで活躍している。2026年、俳優生活60周年を迎えた現役アクション俳優。
弟子たちが監督をした3つの物語
倉田保昭さん主演映画『夢物語The Living Dragon』は3つのエピソード『追躡』『ハート・オブ・ドラゴン-龍的心-』『不思議の国のドラゴン』からなる作品。主役の田中平蔵(倉田保昭)が夢見た世界に挑戦したり、アクション俳優を目指すOL(武田梨奈)の夢の中に登場したり、1973年ブルースの命日にタイムスリップ。ブルースに心臓の新薬を届けようとするなど、夢から連想する3つの物語でアクションも披露しています。それぞれの作品の監督は、倉田さんの弟子、坂本浩一、下村勇ニ、谷垣健治が担当。まずはアクション俳優生活60周年の記念の作品の経緯からお話しを聞きました。
3つの短編で構成された映画ですが、それぞれ監督を務めるのは倉田さんのお弟子さんですね。
倉田保昭さん(以下、倉田さん)
坂本監督、下村監督、谷垣監督に電話をして頼んだら「はい、わかりました」と即決してくれました。ただ下村監督がとにかく忙しく、撮影日程の調整がつかないまま3月にずれ込んだりしてバタバタしましたね。
でも僕はスケジュールが合わないから別な監督をとは考えなかった。倉田のアクションを熟知している3人に演出してほしかったから粘りました。
夢をテーマにしているのは、何か理由があるのでしょうか?
倉田さん
僕は、成功したり、何事もうまくいったりする夢は見ないんです。いつも人に追われて、逃げまくって、転んで、捕まって……そんな夢が多いんですよ。あるとき、その夢を物語にしたらおもしろいんじゃないかと思いまして。うまくいかないし全然かっこよくないけれど、一生懸命な人の夢物語になりました。
アクション俳優生活60周年の記念の作品でもありますが、倉田さんが監督を務めるのではなく、弟子のみなさんに監督をしてもらい、ご自身は主演というところが素敵です!
倉田さん
今回、監督を務めてくれた3人は「80歳で、素手でアクションをする人はいませんよ」と言ってくれたので、おだてにのってやりましたけど(笑)、演出は容赦なかったですね。僕にはスタントいませんから。泥だらけになったし、引きずられたりしましたよ。監督に「もうちょっとかっこいいシーンないの?」と言ったんだけど、僕が思うかっこいいシーンはなかったです(笑)
サモ・ハンには自ら出演交渉も
アクション監修をされているかと思ったら、すべて弟子である監督たちにお任せだったんですね。香港のアクションスター、サモ・ハンさんが登場する『不思議の国のドラゴン』、おふたりの共演は胸熱でした。
倉田さん
谷垣監督にお願いしたとき、キャストが決まっていなくて、核となる人はどうしようと考えたとき、サモ・ハンさんの顔が浮かんで「出てくれるかな」と。おそるおそるサモ・ハンさんに電話をして「自主制作みたいな映画なんだけれど、出てくれる?」とお願いしてみたら「倉田がやるなら、俺はやるよ」と言ってくれて。彼のスケジュールに合わせて香港で撮影しました。
彼も年齢を重ねているため、最後まで何事もなく撮影を終えられるようにと願う気持ちでいました。実際、撮影当日「昨日風邪ひいちゃって」と言っていて、あまり顔色がよくなかったんですよ。でも衣装に着替えたらノリノリ(笑)。僕ら6年ぶりくらいの共演でしたが、アクションの息もピッタリでした。
さすがアクション界のベテランですね。
倉田さん
サモ・ハンさんから「また闘いましょう!」というコメントをいただき、グッときましたね。
今回、主演作をやるにあたってトレーニングなどで準備したのでしょうか?
倉田さん
アクションの準備や練習はしないですね。撮影当日までどういうアクションをやるのかわからないですから。僕は当日までアクション内容を知りたくないんです。知りながら練習してしまうと、型が決まってしまうので。
以前、フランス映画に出演したとき、フランスの撮影ではぶっつけ本番的なものはダメなんです。リハーサルしたり、アクションする位置も事前に決めたりしている。そこまでしっかり準備を整えないと撮影しないそうなのですが、「俺、練習はしないよ」と言って自分のやり方を貫いたんです。でも大丈夫でした。フランスのスタッフは「本当かよ」って顔をしていましたけどね(笑)。
それは倉田さんだからできることですね。普通の俳優は絶対に無理です。
倉田さん
ジャッキー・チェンやサモ・ハンも撮影前に練習しないですよ。ストレッチくらいかな。もしかしたら誰もいないところでやっているかもしれないけれど、僕は見たことないですね。
アクション俳優60周年、短かった
アクション俳優生活60周年ですが、倉田さんにとって60年は早かったですか?
倉田さん
短いですよ。「え!」って感じです。
僕の俳優人生の中で最初の思い出は、学生時代、東映撮影所に行く機会があったんです。そのとき撮影所から帰るスター俳優がいて、スポーツカーに乗って「お疲れ」って。こっちは時代遅れの学生服姿でね。僕はそのスターを見て「すごいなと、俺も!」と。夢を描いたんです。
それから『帰って来たドラゴン』(1974)に出演したとき、帝国ホテルで記者会見をやったんですが、最初の香港映画のオーディションも帝国ホテルだったんです。オーディションを受けたホテルで、出演作の記者会見に出席したことは僕の人生の夢物語のひとつです。
夢を実現したのですね。
倉田さん
香港に行く前は、月に1回、仕事があるかないかの時代もあったけれど、人生はガラリと変わることがあるんだと思いました。
そこから自分のアクション演技を極めるために突き進んできたのですか?
倉田さん
そうですね。当時はCGもないので、自分の体ひとつで闘って映画を作ってきました。苦労もありましたけど、もう毎日が楽しくて仕方がなかった。寝なくてもいいくらいでした。
大根役者も60年やれば大根じゃない!
いまも肉体維持としてトレーニングは行っていますか?
倉田さん
若いうちは仕事でアクションシーンを演じることがトレーニングでもありました。60歳過ぎたあたりから、自分でやるようになりましたね。鍛えておかないと怪我もしやすいし、怪我をしたら周囲に迷惑をかけてしまいますから。自己責任です。
どのようなトレーニングメニューなんですか?
倉田さん
ストレッチ、早歩き、あとは軽めの筋トレですね。アクションは練習するものではなく本番でやります。殺陣に関しては僕に先生はいません。独学です。
すごい。なんでもできちゃうんですね。倉田さんは周囲からは「レジェンド」と言われるけれど、ご自身は「まだ現役です」とおっしゃるじゃないですか。そのモチベーションの源はどこにあるのでしょうか?
倉田さん
やっぱりハングリー精神ですね。これでよかった、満足だなんて思ったことは一度もない。マラソンみたいなもので僕はずっと走り続けている。誰かを追い越そうと思ったことはないけれど、一緒に走っていた人たちは、アクションをやめたり、演技派に転身したりしていなくなっていき、いつの間にか最年長になっていました。
アクションなしの芝居に挑戦など考えたことは?
倉田さん
ないですよ。僕は大根役者だから。でも僕の持論として、大根役者も60年やったら大根じゃなくなるってね(笑)。でもアクションだって演技、本気で殴り合っているわけではないですから。
ゴルフの前の晩はうれしくて眠れない
健康には気を遣っていますか? 食生活はどうしているのでしょうか?
倉田さん
僕は夕食を5時くらいに食べたあとは何も食べません。お酒も飲まない、水くらいです。体にいいと言われる食材はいただいていますよ。納豆とかね。食事は大事、体内に入れるものだから気をつけています。
趣味はありますか?
倉田さん
ゴルフです。ゴルフに行く前の晩はワクワクして眠れない(笑)。アクションのようにうまくはいかないけれど楽しいですね。ゴルフで勝ちたいという気持ちはないんだけれど、飛ばす距離では負けたくないです。
ゴルフはたくさん歩けるのがいいですね。でも一緒に行く友人たちはカートに乗りたがるんですよ。ひとりだけ歩くとスタートが遅くなるから乗ってくれと言われる。僕は歩きたいんですけどね(笑)。
やはり歩くのは体にいいんですね。読者が簡単にできる体の鍛え方など教えていただけるとありがたいです。
倉田さん
やはり歩くのがいちばんです。走るとすぐ疲れちゃうから、歩くのが基本。それから足の裏側を壁にあてるとやわらなくなって怪我予防につながります。姿勢も大事ですね。外を歩いていて、自分の姿が映ったら姿勢をチェックしてください。背中を丸めて猫背になっていたら背筋を直しましょう。僕はいつも意識しています。
なるほど、参考になります。
倉田さん
「自分は年だな」と思ってはダメですよ。僕は昔の人間ですから、痛い、かゆい、辛いなど、後ろ向きな言葉は使いません。そんなことばかり言っていたら精神まで怪我をしますから。心が年を取ってはダメです。お互い頑張りましょう。
映画『夢物語 The Living Dragon』

- 2026年7月17日(金)公開
- 製作・主演:倉田保昭
- 特別出演:サモ・ハン
- 出演:武田梨奈/加藤雅也/高岩成二/谷口布実
- 監督・脚本:坂本浩一/谷垣健治/下村勇二
- プロダクション協力:(株)B.O.S-Entertainment / (株)ACTION CONCEPT / (有)ユーデンフレームワークス 製作:アートポートインベスト(株)/(株)倉田プロモーション/武蔵野興業(株)
- 配給:武蔵野興業(株) 協賛:(株)ティファ
- 映画『夢物語 The Living Dragon』公式サイト
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