定年後は田舎で就農。農業をして暮らすには?

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増え続ける定年帰農者

農家のJA(農協)離れが進み、インターネットの普及により個人でも情報の収集と発信が容易になった近年、農業のあり方が多様性を増しています。食材にこだわりのあるレストランとの直接契約による販売戦略、小規模ながら希少価値の高い野菜作りに特化した高収益ビジネスモデルなど、ベンチャー企業としての新規就農者の挑戦と成功がメディアでも取り沙汰されています。

一方で、農林水産省による年齢別新規就農者数の統計を見ると、若年層は1~2割程度にとどまり、半数を占めるのは60歳以上のシニアです。バブル崩壊を機に急激な増加を遂げ、現在も3万人規模で増え続ける定年帰農者。

退職をきっかけに郷里で一から始めるケースと、都会の生活に疲れた人がゼロから始めるケース、大別するとこの2つに分類されるようです。

どちらにも相応の苦労が待ち受けていますが、地域にルーツを持ち、親の背中を見て育った前者に比べ、後者のハードルがより高いことは明らかでしょう。今回は後者である、全くの新規就農者が農業で生活するために知っておきたいリアルについてまとめていきます。

定年帰農者を待つ4つの現実

喧騒を離れ土いじりしながら過ごす自給自足の生活、という農業に対するイメージは、いささか甘い考えかもしれません。独立就農=起農には、乗り越えるべき四つの壁が待っています。

第一に技術・知識の壁。売り物になる野菜を作る技術がなくては農業は成り立ちません。作物に関する知識はもちろん、農地の借用や購入に関する雑多な手続きも併せてこなさなくては、自分の田畑を持つことさえできません。

第二に、資金の壁があります。よく聞かれる「初期投資に1,000万円かかる」というのは極端な例で、工夫次第では費用を抑えて就農することが可能です。それでも数百万の資金が必要となるため、軌道にのるまでは貯蓄を切り崩してしのぐことになります。

休耕地を格安で借り受けられる制度や、「青年等就農資金」という、新規就農者を対象に国から無利子の融資を受ける制度など、経済的負担を軽減する措置は無数に存在するものの、活用するには正しい知識が不可欠。第一の壁と関連して、乗り越えていきたいところです。

第三の壁は、設備・農地の工面。いかなる規模と業態で生計を立ててゆくにせよ、機械を全く入れない農業というのは現実的ではありません。農地調達のための規定書類提出の際に、最低限の面積の土地を余すことなく耕作することが条件となるためです。第一・第二の壁と相互に関わってくる課題点です。

そして、第四に生活・地域の壁がそびえたちます。休耕地を抱えた地域は過疎化対策として新規定住者の受け入れを掲げてはいますが、実際にその土地になじむには相当な歩み寄りの努力が求められます。覚悟を決めて懐に飛び込んでしまえば、かけがえのないつながりが得られますが、人付き合いの労力は都会に倍するものがあるかもしれません。

まずは体験・研修から

やはり定年帰農は難しいのでしょうか?いいえ、そうとは限りません。後継者不足に悩む農業の現場では、志ある人を対象とした就業体験や研修会が盛んに行われています。若年層はもちろん、シニアにも門戸は開かれています。

より実践的な見識と人脈の構築を期するならば、経営指南も視野に入れたスクールでの受講もおすすめです。また、農業法人による求人情報を取りまとめたサイトを利用すれば、全国の職場からマッチングが可能です。農作業に従事しつつ、地域の特色を肌で感じることができるでしょう。

現実をふまえ、地に足のついた就農を目指しましょう。

最新更新日 2018.05.11

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