かっこよい人

「全ての物事は、収まるところに収まるものです」杉山洋子さん(86)どんなことがあっても強くしなやかに生きる秘訣とは

キネヅカ「自慢のおじいちゃん・おばあちゃん募集キャンペーン」企画の第1回目にお話を伺うのは、株式会社亀屋百貨店・取締役会長の杉山洋子(すぎやま・ようこ)さん。

趣味はジャズボーカルとハワイアンフラダンス、喫茶店で本を読むこと。おしゃれをしたり、外へ出かけることも大好きだと語る笑顔には、華やかでしなやかな魅力が溢れていました。

今回はそんな杉山さんに、これまでの人生で得たものや、歳を重ねても元気に楽しく過ごすために意識していることについて、お話を伺います。

目次

日々をいきいきと過ごす秘訣

まずは杉山さんの簡単なプロフィールを教えてください。

杉山
杉山洋子と申します。1936年、東京都中野区に生まれました。現在86歳です。趣味はジャズボーカルとフラダンスで、両方とも夫が亡くなってから始めました。61歳くらいからですね。

ジャズボーカルとフラダンス!素敵ですね。現在はどのくらいの頻度でレッスンに通っているのでしょうか。

杉山
今は、フラが月3回で、ジャズボーカルは月3回くらいの頻度で通っています。だから結構忙しいんですよ(笑)途中休みもありましたが、ずっと続けていてとても良かったです。

毎日いきいきと過ごすために意識していることはありますか?

杉山
私の場合ですが、一つ目はおしゃれをすることですね。歳をとったらよりいっそう清潔にも気を配らないといけないなと思っています。

二つ目は、なるべく良い姿勢でいるように意識すること。姿勢が悪いと身体に悪影響も出やすくなるので気をつけています。

最後の三つ目は、いつも目の前に「次は何をしようかな」という気持ちを持っていることです。

それは何事にも目標を持つ、ということでしょうか。

杉山
そうですね。私は特に、習い事を通して目標を持つことの大切さに気づきました。

なるほど。でも、目標はやっぱり大きくないといけませんか?

杉山
全然そんなことはないです!大きな目標も勿論良いのですが、小さな目標だったとしても、目の前に自分が定めたハードルがある。それを乗り越えるために努力したり工夫したりする。それが大切だと思います。

これまでの人生を振り返って

杉山さんのこれまでのあゆみについてもお聞きしたいのですが、学生時代に印象に残っていることがありましたら教えてください。

杉山
たくさんありますよ。中学校の音楽の先生がとても熱心な方だったのも覚えています。その先生に合唱を教わって、歌うことの楽しさを知りました。あとは、初めて英語に触れたのも中学校の時でしたね。そこで英語が好きになって、高校卒業後に海外留学のために勉強したり手続きをしたりしていたんですよ。でも結局、父が人にお金を貸してしまって留学どころではなくなり……。その話は白紙になってしまったんです。

それは悲しいですね。当時、杉山さんはどう感じていたのでしょうか。

杉山
留学できなかったことについては、「まあ、ダメなことはダメだし、仕方がない」とさっぱりしていました。

結婚生活で学んだことは「忍耐」

ご主人とご結婚されたのは何歳くらいの時でしたか?

杉山
杉山:25歳くらいの時でしたね。夫とは恋愛結婚ではなかったんです。当時、私の父は築地で鰹節を扱う店をやっていて、私もそこで働いていました。

その近くで夫の姉も鰹節屋をやったおり、そのご縁で「弟の嫁にならないか」と言ってから結婚が決まりました。夫は兄弟が多く、結婚後は夫の両親と、夫の兄弟8人と同居してました。

ご主人のご両親と4人のご兄弟との同居生活は、大変だったでしょうか。

杉山
それはもう!(笑)夫の家も私の家も商家でしたが、タイプが全く違ったんです。私の家はわりと静かな人が多かったのだけれど、お嫁にいったらまあ賑やかなことでした。みんなが言いたいことを言って、声も大きくて……。ちゃきちゃき働いてよく気のつく人が多い家だったんです。あと、本家だったのでお正月には親戚が集まるのだけれど、その準備なんてもう大変で。私の娘がいまだに「お母さんはよくお正月に泣いていたよね」って言うんです。

娘さんも子供ながらにちゃんと見ていたんですね。

杉山
そうなの。本当に。

結婚生活で学んだことってありますか?

杉山
学んだことは「忍耐」ですね。くじけそうになったことなんて山ほどあるし、泣くのなんてしょっちゅうでしたよ。

でも、振り返ってみると、私自身が結構ぼーっと生きている人間だったのは良かったかもしれません。「自分が自分が」というタイプだったら、きっとやっていけなかった気がしていますね。若くて何も知らなかったことも幸いしていたかしら。

ちなみに、ご主人との思い出深いエピソードはありますか?

杉山
夫は私が60歳くらいの時に亡くなっているのですが、それまでずっと糖尿病で、透析も10年くらいしていました。合併症で眼も見えなくなって、不安だったのだと思いますが、すぐそばに私がいないとだめな人でした。甘えたがり屋でしたね。一番の想い出は結婚25周年の際に二人でヨーロッパを旅行したことがとても思い出に残っています。

そうなんですね。長らく連れ添ったご主人が亡くなって、やっぱり寂しかったですか?

杉山
寂しさもありましたが、できることは全てやったのだ、という気持ちでした。特に彼の晩年は私自身も共倒れになりそうなほどずっとつきっきりだったので、もう心配しなくてもいいのだと思うと、不思議な自由さを感じていました。

夫も生前に「俺がいなくなったらなんでも好きなことができるぞ」と言っていましたし、薄情に聞こえるかもしれませんが、きっと許してくれていると思っています。

一瞬の輝きを大切に

日々の中で大切にしている時間はありますか?

杉山
ジャズボーカルやフラといった習い事も勿論大切にしていますが、カフェで本を読むのが好きなんです。娘には「家で読めばいいのに」と言われるけれど、読書はカフェですると決めています。

読書はどういった本を読むのでしょうか。お気に入りの作家など、ぜひ教えてください。

杉山
私はわりとジャンル問わずなんでも読みますが、特に好きな作家は曽野綾子さんです。彼女の著作に「“永遠の前の一瞬”とはこの世の人生のことである。」という一節があるのですが、これは私の人生観にかなり影響を与えてくれた言葉ですね。人生は永遠の前の一瞬。人ひとりの人生なんて、本当に一瞬なんです。

宗教的な話ではないのですが、この世界に生まれてきたからには、誰かや何かに命を返す時までしっかり生きること。それが私たちの責任だと思っています。

なるほど。ちなみに、杉山さんにとっての幸せとはどんなものでしょうか。

杉山
長く生きてきましたが、私にとって幸せだと感じる時は常に今なんです。健康でいることができて、好きなことがある。これが幸せだと感じます。

その中でも、不安になることはありますか?

杉山
不安なことだって当たり前にありますよ。でも、物事は収まるところに収まるのだとこれまでの人生で経験したんです。どんな大問題でも、その時がきたらふっと解決するもの。だからあんまり心配せずに、なるべく楽しく生きていこうと思っています。

最後に、今までご縁があって出会った方々の全てに感謝しております。

文・取材 / 望月柚花

※掲載の内容は、記事公開時点のものです。情報に誤りがあればご報告ください。
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