今やっておきたい終活。エンディングノートって?

「そのとき」のためにできること
日本人の平均寿命が男女ともに80歳を超えた一方、いつまでも若々しく人生を謳歌するシニアが増えました。それでも確実に訪れる人生の終末期に備える終活への関心は、年々高まってきています。
お墓の手配やお葬式のプランニング、財産や相続にまつわる手続きなど、終活の内容は多岐にわたります。そのなかでも特に気軽かつ重要なものが、エンディングノートです。
広まりつつある終活ノート。遺言書との違いは?
自分の死後に必要となる情報をしたためるという点は遺言書(遺言状)と共通しているものの、この2つには大きな違いがあります。遺言書は相続などに関する法的効力を持ち、エンディングノートは私的な文書の域を出ません。
同じく本来私文書である遺書が、法に沿った内容・形式で記されていたとき遺言書に等しい扱いを受けるケースがある一方で、今のところエンディングノートはあくまで私文書にとどまります。
必要に応じて遺言書を作成し、ノートには書面の所在や作成に関わった法律家の連絡先を記載すれば、無用なトラブルを防げるでしょう。
銀行の金庫に預ける、押し入れの奥深くに隠す……いざというとき簡単に取り出せない・見つからないような保管は厳禁です。信頼できる身内に口頭で伝える、冷蔵庫にしまう、財布に保管場所のメモを入れておくなどの方法が考えられます。
エンディングノートを書こう
2011年に公開された映画のタイトルにも使用され、年々認知度が上昇してきたエンディングノートですが、実際に書いたことがある人は高齢者の10%ほどにとどまるようです。
書式に決まりはありませんから、とっておきの手帳をおろして自分の名前を記せば、それがエンディングノートの始まりです。
何を書けばいいのかわからないという方は、各出版社から発売されているエンディングノートを利用しましょう。項目に違いはありません。装丁の気に入ったもの、あるいは安価なものからお試し感覚で手に取ってみるのがおすすめです。
インターネットでフォーマットをダウンロードする、スマートフォンアプリを活用するなど、デジタル機器を使うのも非常に便利です。
ノートに残す事柄としては、葬儀・供養に関する希望や訃報を届ける連絡先の一覧に始まり、預貯金や年金またはクレジットカードといった資産情報、パソコンや携帯電話のロック解除番号、登録中のインターネットサービスのアカウントやパスワードなど、もしものときに必要な事項を網羅するパターンが一般的です。
面倒なようでも細大漏らさず書いておくと、便利な備忘録として普段の生活で活躍してくれます。その場合、万が一の紛失を想定して悪用されない範囲で記述しましょう。介護方針や延命措置についての見解、臓器移植の意志を記すことも、エンディングノートの大切な役割です。
新しい一年、新しいノート
そのほかにも、自分史を記したり、直接は言えない家族へのメッセージを書いたりすれば、残された者にとって故人をしのぶ大事な思い出の品となることでしょう。
エンディングノートは遺族を困らせないための有用な備えです。雑務や確認に追われて最期の別れを悲しむ暇もない、そんなつらい事態を回避するのに大いに役立つのです。
一度書けば終わりというわけではなく、情報が増えれば書き足したり書き直したりする必要があります。毎年自分の誕生日に更新し、来し方行く末に思いを馳せれば、日々の何気ない暮らしのかけがえのなさに気づくかもしれません。
最新更新日 2018.02.26
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