退職金でくつろぎの場を作りたい。カフェ経営で成功するには?
数だけ見れば飽和状態。独自性ある経営戦略が必要。
退職金を元手に始める、自分だけのちいさなお店。勤め人なら誰もが一度は思い描く、セカンドライフのかたちですね。なかでもカフェ経営は通常の飲食店に比べると体力面でハードルが低く、オーナーの趣味を反映しやすいため根強い人気を誇っています。
しかし、総務省統計局のデータによれば、平成26年の時点で全国には7万件近くのカフェ・喫茶店が営業しています。同年の主要8社コンビニ店舗数が5万件半ば、数だけでみれば完全な飽和状態と言えます。魅力ある独自性と現実的な経営戦略がなければ、お店を維持することは難しいでしょう。
実際にカフェ経営に乗り出すためには、どのような準備が必要なのでしょうか?
節約も可能!開業資金はいくら?
カフェ経営の初期費用は、おおむね500万円から600万円ほどと言われています。
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都内か田舎か、家賃が分かれ目
まず、店舗を構えるための賃貸料。初心者向けとされる坪数は10坪ほどです。厨房のスペースを引いて、席数は13席から15席、都心であればこの規模でも月15万円以上は家賃がかかります。契約時に数ヵ月分の保証金を支払うケースもありますから、それも見越した金額が必要です。
反対に、のどかな地方や悪条件の立地を選択する、持ち家を改装するなどの手段をとれば縮小可能なコストではありますが、どちらにせよ充分なリサーチが欠かせません。
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内装、設備は居抜き物件が断然安い
続いて、内装と設備も大きな費用を占めます。スケルトン物件と呼ばれる、何もないスペースにガス水道を引くところから始めれば1000万円を軽く越すこともありますし、床材に空調、インテリアにもこだわると膨大な資金を要するでしょう。
一方で、前のテナントで使用していた什器・設備を引き継ぐ居ぬき物件を選べば、出費はグッとおさえられます。高額な厨房機材をリースで済ませることで故障リスク回避と節税対策を兼ねたり、業務用のリサイクルショップを活用したり、さまざまな手段を講じたいところです。
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DIYする場合も見積もりの作成を
DIYが趣味なら、自分で内装工事をしてしまうのもひとつの手。センスと技術次第では、お店の個性を決定づける空間が生み出せるでしょう。とはいえ、工賃がタダでも材料費や手間がプロに任せるよりも高くつく、という失敗もありがちな例です。自作の場合も、見積もり作成と客観的な視点を忘れずに臨むべきですね。
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その他コストも考慮し、充分な運転資金を
メニューの開発や仕入れ先の確保も、時間と労力をとられる作業です。そして、開店はゴールではなくスタート地点です。どんな商売も、すぐには安定した利益はあがりません。当座をしのぐ充分な運転資金がなければ、せっかくの素敵なお店も砂上の楼閣でしょう。
経営は雑務の連続。学校に通うのもあり。
食品衛生責任者と防火管理者の講習を受け、保健所への申請を済ませれば、晴れて開業届提出へと進みます。経理、接客、清掃に至るまで、オーナーの仕事は雑務の連続でもあります。勉強が必要なことも多いでしょうが、手をかけるほどやりがいも増しますね。
開業を目指す人向けの専門学校もあるので、ドリンク・フードメニューの開発や技術指導、独立後の経営相談など、卒業後も多岐にわたるサポートを利用するのも手です。
コンセプトをしっかりと練り、豊かなセカンドライフを。
投資さえすれば収益が見込めるというわけではないのが、カフェ経営の難しいところです。お店の方向性を定めるコンセプトを早期にがっちりと固めて、ぶれることなく計画を練ることが最大のポイント。個性ある、心からくつろげるようなお店をプロデュースして、豊かに薫るセカンドライフを目指しましょう。
最新更新日 2018.06.04