年金を受け取っていても大丈夫? 生活保護の仕組み

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生活保護は困窮者を救済する最後のセーフティネット

厚生労働省の発表によると、現在の我が国ではおよそ163万世帯、216万人が生活保護を受給しており、その半数の81万世帯が高齢者世帯です。

生活保護は国民の健康で文化的な最低限度の生活を保障する憲法25条に基づいた制度ですが、実際の運用における細かな規定は社会福祉六法の一つである生活保護法で定められています。

生活困窮者に対し、必要に応じて生活扶助、介護扶助、医療扶助など、8種類の扶助を支給するという内容の制度ですが、支給されるか否かは無差別平等の原則(生活保護法第2条)、補足性の原則(生活保護法第4条)、申請保護の原則(生活保護法第7条)、世帯単位の原則(生活保護法第10条)の4原則に則って判断されます。

この4原則をまとめておおまかに言うと、所持している資産や能力ほか、あらゆるものを全て活用しても、なお最低限の生活の維持が世帯単位で困難な場合、申請をすれば過去の経歴や困窮の原因を問わず無差別平等に適用される、ということです。このなかで「あらゆるものを全て活用しても・・・」の部分は補足性の原則に該当する部分です。

生活保護は資産を保有している場合は受けることができません。ここで言う資産には預貯金だけではなく、土地等の不動産や車も含まれます。

居住の用に供される家屋など一定の要件に該当する資産は保有が認められますが、これらの資産は売却することが求められます。積立型の生保も基本的には解約しなければなりません。

さらに、65歳以上の高齢者や病気などなんらかの理由で働けない場合は別として、働く能力があるにもかかわらず働かない人や、経済的援助が受けられる親族がいる人も支給対象外となります。

単に働きたくないという理由や親族からの援助は受けたくないという理由で生活保護を受けることはできないというわけです。雇用保険や障害者手当等ほかに受けられる扶助がある場合は、生活保護よりもそちらのほうが優先されます。

つまり、収入が無いか若しくは低くて、ほかに頼る親族も制度も無く、保有している財産全てを売却してもなお最低限度の生活ができないという場合のみ生活保護が受けられます。これが補足性の原則で、生活保護が困窮者を救済する最後のセーフティネットと言われる所以です。

申請の際には受給資格があることを証明するために、生活保護申請書に加えて、資産と収入の申告書、車検証、生命保険の証書等の提出を求められる場合もあるようです。

世帯収入と基準の差額が支給

4原則の一つに世帯単位の原則がありますが、これは生活保護が認められるか否かは、個人の収入ではなく、世帯収入によって決定され、世帯各員の収入の合計が国の定める最低限度の生活を送れる基準に達していない場合に受給が認められるという原則です。ただし例外として、同居はしているけれども別世帯として扱う世帯分離という制度もあります。大学生などがこれに該当します。

支給される金額は、世帯収入と基準の差額となります。しかし、一口に基準と言っても、一般的に地方よりも大都市のほうが物価や住宅費が高い場合が多く、最低限度の生活が維持できる収入額は地域ごとに差があります。

そこで、公平を期するように地域ごとに固有の基準が定められています。例えば、東京都区部等の場合、生活保護費のうち日常生活で最も必要な費用となる生活扶助の支給額は標準3人世帯で158,380円 、高齢者単身世帯が79,790円、地方郡部等の場合は標準3人世帯で129,910円とされています。

年金や介護保険との併用も可能

年金を受給している場合は生活保護が受けられないと思われがちですが、必ずしもそうではありません。年金は収入とみなされるので、年金受給額が最低限度の生活水準に達しない場合は、生活保護の受給も並行して受けることができます。この場合は年金を差し引いた差額が支給されることになります。

介護保険も生活保護と併用することが可能です。生活保護を受けている人が65歳以上の高齢者であれば必要な介護サービスを1割負担で受けることができます。この1割負担は介護扶助から支給され、納めなければならない医療保険料は生活扶助から支給されることになります。

一方で40歳~64歳未満の生活保護受給者は医療保険の被保険者資格が喪失するので理屈の上では第2号被保険者となることはできないのですが、このような場合はみなし2号として扱われるので、介護費用は介護扶助から全額負担されることになります。

このように生活保護を受けるには様々な条件を満たす必要がありますが、基本的には条件に該当する場合、無差別平等に適用されます。もしもの時に有効活用できるように、内容や仕組みを正しく理解しておくことが大切と言えるでしょう。

最新更新日 2018.02.13

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